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ソニーがインテルから買収したゲート・オール・アラウンド(GAA)特許についての考察

by PatentSight Japan team, on Mar 21, 2021 2:12:51 PM

2020年末、IAMはソニーがインテルから特許を取得したと報じた。ソニーがエレクトロニクス製品、イメージセンサー、エンターテイメント産業をビジネスとする一方、インテルはマイクロプロセッサとソリッドステートドライブのビジネスという、2社の興味深い取引といえる。さて、ソニーがインテルから特許を取得するに至った背景にあるソニーとインテルの共通点は何か?を検討してみよう。 

The patent portfolio in question

Patent drawings from PatentSight (blogpost)

それぞれの再譲渡文献には、米国で権利化されている35の特許ファミリーが記載されている。図面を見ると、パッケージ、半導体プロセス、システム、コンピュータメモリ、画像投影など、様々な技術がポートフォリオに含まれていることがわかる。驚くべきことに、最初のページの図面には、次のトランジスタ技術として期待されているゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタ技術を示唆するものがいくつかある。 

1965年、インテルの共同創立者であるゴードン・ムーアは、集積回路のトランジスタ数は毎年2倍になると考えた。これは、半導体業界では、プラナー・トランジスタをさらに縮小することで実現されたが、2011年にインテルがマイクロプロセッサ「アイビーブリッジ」を発表するまでのほとんどの期間は、プラナー・トランジスタは縮小化された。 これはプレーナ・トランジスタを3次元フィンFETトランジスタに置き換えた最初のマイクロプロセッサだった。そして現在、将来的にはムーアの法則を踏襲した、いわゆるゲート・オールアラウンド(GAA)トランジスタが登場すると予想されている


CPC Classes from transfer (blogpost)

特許分類は、この第一印象を裏付けるものである。CPCで最も頻繁に使われる5つの分類は、フィンFETとゲート・オール・アラウンド・トランジスタ技術に関連している。簡単にスクリーニングしてみると、10件の特許ファミリーがゲート・オール・アラウンド・トランジスタに関連しており、3件の特許ファミリーがフィンFETトランジスタに関連していることが最終的にわかる。表面的に見る限り、記載されている構造と方式は、文献で公開されているゲート・オール・アラウンド構造に似ている。

実は、ここで発見したことは予想外のことであった。何故なら、ソニーがGAAのような先進的なCMOSトランジスタ技術に積極的に取り組んでいることは知られていなかったし、少しも明らかにされていなかったからである。

ゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタの特許ランドスケープ

これを理解するためにゲート・オール・アラウンド・トランジスタ技術分野を分析してみた。

Patent Asset Index vs. Portfolio size (blogpost)

このグラフは、ポートフォリオサイズ(左-灰色)とポートフォリオの強さを示す指標であるPatent Asset Index™(PAI)により、ポートフォリオの強さで順位付けした上位 6 社の特許権利者を示したものである。上位 3 社は、サムスン、TSMC、インテルの 3 社であり、いずれも先進的なトランジスタ技術を手がける有名な半導体デバイスメーカーであることから、当然のことといえよう。

IBM はポートフォリオサイズが最大であるにもかかわらず、GAA ポートフォリオの強さで 4 位にランクされている。ゲート・オール・アラウンドの特許権利者の中にIBMが入っていることを見るのはいささか意外なことでもある。2015年、IBMはIBM Microelectronics16,000件以上の特許とともにGlobal Foundriesに売却したと報告されている。この譲渡について、PatentSight Ultimate Ownerという概念を用いて分析してみることができる。この概念を使いPatentSightのデータベースでGlobalFoundriesが2015年に買収した特許をみると、それらは買収が確定した時点からIBMからGlobalFoundriesへと再譲渡されている。これらの特許は権利者「GlobalFoundries」下にあり、権利者「IBM」の下にはない。 2015年にGlobalFoundriesが取得した16,000件の特許にゲート・オール・アラウンド(GAA)トランジスタの特許はあったと考えてよいであろう。 
 

ソニーは、件数は少ないが強力なGAAポートフォリオで6位にランクイン。ポートフォリオサイズ(シンプル特許ファミリー数)とポートフォリオの強さ(Patent Asset Index™)の差が顕著である。ポートフォリオの強さであるPAIは、ポートフォリオサイズの10倍以上である。この比率は、PatentSightのCompetitive Impactで算出され、ソニーのゲート・オール・アラウンド特許の平均的な品質の高さを示している。

Portfolio Size and Patent Asset Index™ trends 

Patent Quality and Quantity trends (blogpost)

ポートフォリオ件数とPatent Asset Index™のトレンド・チャートは、特許権利者6社の GAA 特許の件数と強さを示している。トレンドチャートでは、2015年にGlobalFoundriesに売却されたIBMのGAA特許はすべてGlobalFoundriesの下に表示されていることを思い出していただきたい。これは、IBMマイクロ・エレクトロニクスを売却したにもかかわらず、IBMはGAAトランジスタ特許を出願し、現在も積極的に出願していることを意味している。 これについてはもう一つの驚きである。 

ポートフォリオサイズとPatent Asset Index™の違いは、トレンド・チャートにもはっきりと表れている。ポートフォリオの件数の成長率が最も高いIBMであっても、IBM特許の平均的な価値(Cometitive Impact)は、Patent Asset Index™の上位3社に追いついていない。 

Quality vs Quantity Top 6 owners of GAA

価値 対 件数のチャートは、ポートフォリオ規模、ポートフォリオの強さ(Patent Asset Index™)、平均的な特許の質(Competitive Impact)を組み合わせたもので、ソニーはポートフォリオサイズは小さいが、平均的な特許価値が高いため、左上に位置している。バブルサイズはポートフォリオの強さ(Patent Asset Index™)を表している。IBMのGAAポートフォリオは、ソニーと対照的に見える。IBMはポートフォリオ・サイズは最大だが、平均特許価値(Competitive Impact)は最も低い。他の特許権利者であるSamsung、TSMC、Intel、GlobalFoundriesは、ポートフォリオ・サイズと競争力価値の値が類似しているため、グループ化されたような同じ位置にあることがわかる。 

まとめ

今回の分析では、ソニーとインテルの間で行われた特許譲渡について簡単に分析をした結果、先進的なCMOSトランジスタ技術の知的財産(IP)について非常に貴重な知見を得ることができた。第一に、ソニーは、ゲート・アラウンド型トランジスタのポートフォリオを、少数ながらも強力に保有している。これは全く予想されていなかったことである。第二に、IBMは数年前にIBMマイクロエレクトロニクスを売却したにもかかわらず、未だにGAAトランジスタの特許を出願している。これもまた、非常に驚くべき動きである。

しかし、2つの疑問が残る。1つは、そもそもソニーはGAA特許に興味を持っていたのか?それとも、これらの特許は偶然にもポートフォリオに含まれていただけなのか?ということだ。そして二つ目の疑問はより興味が深いものである。GAA特許を売却したということは、インテルは将来「何かをしない」ことを決めたということが考えられるが、それは何を語っているのだろうか?ということだ。

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お問い合わせはinfo-jp@patentsight.comまでご連絡ください。

 

Topics:"Technology"半導体ソニーGlobalFoundriesGAAインテル